日頃おこなっている業務をシステム化することは、今や大企業だけでなく中小企業であって当たり前におこなわれています。さまざまなシステムは、業務には欠かすことのできないものになりましたが、システム化することによって生じるリスクも存在します。システム化で業務を効率化するために、メリットとデメリットの両方を理解しましょう。また、システム化の失敗にはどのような事例があるのかもご紹介します。
▶目次
1.業務をシステム化するメリットとデメリット
会社のシステム導入を検討しているなら、システム化するメリットとデメリットの両方を理解しておく必要があります。システムの導入は会社にとっての投資ですから、デメリットの対応策もしっかりと準備しておきましょう。
①メリット
主なメリットを紹介すると以下の点があげられます。
- 正確で迅速な処理が可能になる
- ケアレスミスが減る
- 経営資源の一元管理ができる
- 数多くのデータを保存する場所を確保する必要がない
- 情報の伝達が簡単になる
このように、業務の効率化につながる部分がメリットとなります。
②デメリット
一方でメリットについては、以下の点があげられます。
- 実際にシステムを利用したり管理したりするのに専門知識が必要な場合がある
- システムトラブルが起きたときの対処が難しい
- 不正アクセスされる可能性があり情報漏えいなどのリスクがある
- さまざまな理由でシステムダウンした場合、業務に支障が出る
- 多額の設備投資が必要
- マニュアルの作成や対応フローの作成が必要
このように、システムは導入時や不具合の発生時に手間や負担、費用くかかってしまいます。これらのデメリットを念頭に置き、リスク管理をおこなう必要がるのです。
2.システム化の失敗
システムの導入には、前準備とシステムの正しい理解など充分な検討をおこなう必要があります。準備が不十分だと、いざシステムを導入しても失敗に終わることも。費用をかけてシステム化したのに期待していた効率化がされず、逆に手作業が増えて前よりも業務効率が悪化したというケースもあります。ここでは、システム化に失敗した事例を元に、どのように対処すればいいのかを解説します。
①導入しただけで終わってしまうパターン
システムを導入しただけで満足してしまい、上手く活用できていないケースです。時間をかけてしっかりとした導入計画を立てていたにも関わらず、導入自体が目的となってしまった企業に多く見られます。システムは導入してからが本番です。導入に多額のお金もかかっています。導入計画を立てたら、どのように活用していくかも事細かにシミュレーションしておきましょう。
②利用者の反発を受けるパターン
突然今までしていた手作業をやめてシステム化するとなると、従業員の中には将来の処遇に対する不安から反発する人も出てきます。さらに、システム化することで自分の仕事が増えるのではないかという不満から反発する人もいるでしょう。業務をシステム化する場合は、淡々と計画を進めて導入するのではなく、従業員の不安の解消やシステム化する動機付けなどの配慮が必要です。また、実際にシステムを導入する前には、システムを利用する従業員の選定をしっかりとおこない、業務負担が一部に偏ることのないようにすることも大切です。
③計画不足
導入計画不足で、思った程の費用対効果が得られないといったケースもあります。とくに多い見誤りがシステムの導入範囲です。緻密な導入計画こそが業務システム化の明暗を決めるといっても過言ではありません。ただし、多少の誤算は軌道修正できる場合がほとんどです。計画を見誤ったと判断してもすぐに諦めず、改善策を練って修正を試みてください。
④導入範囲が広すぎる
一気に業務をシステム化しようとして、導入範囲が広すぎると手に負えなくなる可能性があります。業務を担当する従業員の資質や経験、能力を熟考して少しずつ導入していくのが良いでしょう。1つのシステムの使い方に慣れて、使いこなせるようになったら次のシステムを導入するといった計画性が大切です。また一気にシステム化してしまうと、停電などで全てシステムダウンしたとき、業務が大幅に滞ることを視野に入れておかなければなりません。システム導入の優先順位を明確にし、狭い範囲から徐々に広げていくように意識して計画を立てると同時に、システムダウン時の対処法もマニュアル化しておくようにしましょう。
3.まとめ
業務をシステム化すると効率化が図れる反面、デメリットをどうやって上手くカバーしていくかが大きな課題となります。やはり最終的にたどり着くのは綿密な打ち合わせと計画でしょう。同じ規模の企業でシステム化している経営者や従業員に、直接意見を聞いてみるのも良い参考になります。お金がかかることなので、費用対効果を見極めながら適宜軌道修正し、安定するまでは何度も利用者の意見を聞きつつ、改善案やシステム化の範囲を変えていくと徐々に上手く業務がシステム化していきます。ただ単に有名なシステムだから導入するという安易な考えではなく、自分の会社に合ったシステムを使いましょう。