業務管理システムは、効果的に利用することで業務を大幅に効率化できるツールです。企業規模や用途に応じたあらゆるシステムが販売されており、多くの経営者が事業に組み込んでいます。
しかし、あくまで事業内容にフィットした内容でなければ効果は実感できません。今回は導入の選定基準となる、各システムの特徴をご説明致します。
▶目次
- 1.業務を効率化する「業務管理システム」とは?
- ①企業に応じて柔軟に対応できる特化型業務管理システム
- ②情報の一元管理による効率化を目指したERP
- 2.ERPのタイプ別メリット・デメリット
- ①安定感を強みとするオンプレミス型ERP
- ②普及率が拡大しつつあるクラウド型ERP
- 3.まとめ
1.業務を効率化する「業務管理システム」とは?
業務管理システムとは、事業にかかわる各業務をサポートするためのシステムです。主に営業管理や会計など個別分野に特化したタイプと、各カテゴリの管理機能が統合されたERPに分けられます。どちらも情報を効率的に管理する目的のもと運用されますが、その特徴は大きく異なります。
この項では特化型業務管理システムとERP(基幹系情報システム)の特徴をご紹介致します。
①企業に応じて柔軟に対応できる特化型業務管理システム
特化タイプの業務管理システムは営業管理や会計、購買管理や生産管理など役割ごとにシステムの導入が必要です。導入時には個別に最適なものを選択できるため、事業内容に応じたシステム構築が可能。カスタマイズ性は高く、経営者や社員にとって使い勝手のよい操作感が期待できます。
こういった柔軟な環境構築が強みではあるものの、それぞれのシステムが独立しているため同期作業に手間がかかるのが難点です。導入した業務管理システムが多いほど同期の工数は増えるため、入力内容の誤りなどの人的ミス増加に繋がります。
これらの特性から複数の事業を抱える大企業には向かない場合もあり、社員や事業内容が小規模な企業に採用されるケースが多いです。
②情報の一元管理による効率化を目指したERP
特化タイプはそれぞれ異なる管理システムを使用するため、業務上の情報を1つ更新するにあたって各カテゴリの情報も書き換える必要がありました。しかしERPは業務に関する全てのデータが一元化されるため、何か1つの情報を更新すれば全てのカテゴリに適応されます。
そのため複数の手間が必要だった作業は短縮され、業務の大幅な効率化が実現できるシステムと言えます。
しかし特化タイプの管理システムに比べて操作範囲が広くなるため、学習コストが高くスタッフが使いこなせるまでに時間を要するのが難点です。事業内容によっては機能を持て余すこともあり、中小企業以下であれば特化タイプの管理システムが適しているケースが多いでしょう。
2.ERPのタイプ別メリット・デメリット
ERPにはクローズドな環境下で動作するオンプレミス型とインターネット上で利用するクラウド型があり、それぞれに長所と短所があります。
オンプレミス型は確かな実績があり、クラウド型は低価格で気軽に導入できることから導入されるケースが増えています。
①安定感を強みとするオンプレミス型ERP
オンプレミス型ERPは、自社サーバーでデータ管理を行うクローズドな方式を利用しています。導入コストは莫大であるもののカスタマイズ性が高く、オフライン環境下での安定的な動作が強みです。インターネットに接続しないので外部流出の危険性が低く、クラウド型よりセキュリティが高いとされています。
しかし基本的にオフライン環境下で利用することで、デメリットも生じます。クラウド型ERPはベンダー(販売元)がシステムの管理を行っていますが、オンプレミス型ERPは自社内でシステム管理を行わなければなりません。この性質によりERPを最新バージョンに保ち続けるには手間が発生し、業務時間外にアップデート作業を行う負担の大きい管理体制を強いられます。
また導入コストがクラウド型ERPに比べて高額であり、事業内容が限られる中小企業は導入のメリットが少ないケースも多いです。
②普及率が拡大しつつあるクラウド型ERP
クラウド型は初期費用が安価でインストールが不必要であるため、導入にかかる手間や費用が低コストであることが最大の特徴です。ビジネスの変化にも柔軟に対応させることができるため、流動性の高い昨今のビジネス業界に適したタイプと言えます。
その特性上、インターネット環境があればどのような環境下でも使用でき、スマートフォンやタブレット端末からの利用も可能です。自社で管理・運用が必要であったオンプレミス型ERPと異なり、クラウド型ERPは特別な操作がなくても最新の状態で利用できます。
しかしクラウド型ERPはデータの管理をインターネット上で行うため、オンプレミス型ERPに比べてセキュリティ上の脅威にさらされるリスクが高まります。サービスの提供者は不正アクセスに対して対策を取っていますが、未知の攻撃に対して100%阻止できる保証はありません。
またオフライン環境では機能しないため、何らかの問題でインターネットに接続できなければ利用できない点もデメリットでです。インターネット環境に障害が発生しても業務が停止しないようなシステムの構築が必要です。
またクラウド型ERPは、複数の会社に向けて提供されているパッケージ商品であることも多く、オンプレミス型ERPよりカスタマイズが困難な場合がほとんどです。企業の特性に合わせた最適化が難しい場合があるため、導入前にニーズが満たせるか確認が必要です。
3.まとめ
業務管理システムを導入すれば効率化が見込めますが、企業規模や事業内容に応じた選択が求められます。全体の傾向としてクラウド型ERPの採用率が上昇していますが、安易な判断で導入したために財務面で損失を計上するケースも多いです。
また中小企業向けのERPは徐々に数を増やしていますが、事業内容が限られている企業は特化タイプで十分な場合も多々あります。導入前に改めてニーズと合致しているか確認し、業務効率向上のために最適な選択ができれば理想的です。